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[特別編] 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例 子や孫が住宅を購入・建築しようとする際、親や祖父母が援助するのを、税制がバックアップしています。その税制のポイントを解説いたします。

税理士法人今仲清事務所 税理士 今仲 清

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間や対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率に応じて非課税限度額が区分されており、適用期限は平成33年12月31日までとされています。両親や祖父母から住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合に、平成31年3月末までは最大1,200万円まで贈与税が課税されない画期的な制度です。

[1] 省エネ・耐震・バリアフリー住宅は最大1,200万円まで非課税

直系尊属からその年1月1日現在20歳以上の直系卑属に対して一定の住宅用家屋を取得するための資金又は一定の住宅の増改築や大規模修繕のための資金の贈与があった場合には、その贈与を受けた住宅等取得資金のうち省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅用家屋の場合については、住宅用家屋の取得等に係る契約期間が平成31年3月末までの住宅取得等資金贈与について1,200万円まで贈与税を非課税とすることとしています。

[2] 一般住宅は最大700万円まで非課税

省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅用家屋以外の一般住宅については、住宅用家屋の取得等に係る契約期間が平成31年3月末までの住宅取得等資金贈与について700万円まで贈与税が非課税とされます。

[3] 東日本大震災の被災者については非課税限度額を優遇

東日本大震災により住宅用家屋が滅失等した者や住宅用家屋が原発警戒区域内に所在する者(以下「東日本大震災の被災者」といいます)については、住宅用家屋の取得等に係る契約期間が平成31年3月末まで、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅用家屋の取得等資金贈与の場合には1,500万円、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅用家屋以外の取得等資金贈与の場合には1,000万円までそれぞれ贈与税を非課税とすることとしています。

<住宅取得等資金贈与の非課税特例の適用限度額>
住宅用家屋の
取得等に係る
契約の締結期間
右記以外の方(※1) 消費税率10%が適用される方
良質な
住宅用家屋(※2)
一般住宅 良質な
住宅用家屋(※2)
一般住宅
平成27年 1,500万円 1,000万円
平成28年1月~31年3月 1,200万円 700万円
平成31年4月~32年3月 1,200万円 700万円 3,000万円 2,500万円
平成32年4月~33年3月 1,000万円 500万円 1,500万円 1,000万円
平成33年4月~33年12月 800万円 300万円 1,200万円 700万円

(※1) 消費税率8%の適用を受けて住宅を取得した方のほか、個人間売買により中古住宅を取得した方。

(※2) 一定の省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた住宅

(※3) 東日本大震災の被災者に適用される非課税限度額は、次のとおりです。
 ・平成31年4月~平成32年3月に契約を行い、かつ消費税率10%が適用される方:良質な住宅用家屋:3,000万円、一般住宅:2,500万円
 ・その他の期間に契約を行う方:良質な住宅用家屋:1,500万円、一般住宅:1,000万円

[4] 適用対象住宅用家屋の床面積は240㎡以下

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例の適用対象となる住宅用家屋及び増改築は次のようなものとされていますが、東日本大震災の被災者を除いて適用対象となる住宅用家屋の床面積については240m2以下とされています。なお、別の制度である相続時精算課税制度の住宅取得等資金贈与の特例については、240m2以下という住宅用家屋の面積制限はありません。

<住宅取得等資金贈与の対象となる住宅用家屋及び増改築>
1 1棟の家屋・・・床面積50m2以上240m2以下
区分所有建物・・・区分所有部分の床面積50m2以上240m2以下
2 床面積の50%以上が専ら居住用に供されていること
3 日本国内に所在すること
4 新築又は築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には25年以内)の中古住宅、又は、建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合する家屋であること
5 土地(借地権)のみの取得は適用対象外
6 工事費用が100万円以上で増改築後の床面積50m2以上240m2以下の一定の増改築等も対象となる
<住宅取得等資金贈与の対象となる増改築や大規模修繕等の工事>
増改築・大規模修繕等の工事
単独家屋
  1. 1増築、改築、建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替
  2. 2家屋の一室(居室、調理室、浴室、便所その他の室)の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替
区分所有家屋
  1. 1家屋のうちその者の区分所有する部分について、次のいずれかのもののその過半について行う修繕又は模様替
    1. (イ)主要構造部である床及び最下階の床又は階段
    2. (ロ)間仕切壁の室内に面する部分
      (間仕切壁の一部について位置の変更を伴う修繕又は模様替に限ります。)
    3. (ハ)主要構造部である壁の室内に面する部分
      (遮音又は熱の損失の防止のための性能を向上させる修繕又は模様替に限ります。)
  2. 2家屋のうちその者の区分所有する部分の一室(居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下)の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替え

(注)家屋について行う建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合させるための修繕又は模様替も含みます。

[5] 受贈者は合計所得金額2,000万円以下の者に限る

父又は母、祖父母、曾祖父母などから住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例の適用を受けることができる子、孫、ひ孫などの受贈者は、その年1月1日現在20歳以上でその年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限りますのでご留意下さい。

<3つの現行贈与制度>

<3つの現行贈与制度>

※A:一般住宅
※B:省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅用家屋

※本サイトに掲載の内容は、平成28年7月現在の法令及び「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」
(平成28年8月2日、自由民主党・公明党)に基づき作成しております。