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こんな手法もある土地有効活用 その1 特定の事業用資産の買換え特例を活用した対策

税理士法人 ファミリィ 代表社員・税理士 山本和義

事業用資産の買換え特例の適用を受ける場合のメリット・デメリット

事業用資産の買換え特例の適用に当たっては、買換資産の取得費は譲渡資産の取得費を引き継ぎますので、実際の購入金額よりもかなり低くなります。建物や機械装置などに買換えた場合は買換え後の減価償却費の金額が少なくなり、土地などへ買換えた場合は次に売却したときの取得費が少なく(つまり売却益が多く)なります。
また、取得日は買換資産の取得の日とされ、買換資産を5年以内に譲渡すると、短期譲渡所得として課税(税率39.63%)されることになるので注意が必要です。
設例で検証してみます。

設例

譲渡資産の譲渡価額≦買換資産の取得価額の場合で建物に買換えしたとき

設例

以上の設例では、買換え特例の適用を受ける場合、譲渡税は軽減されますが、建物の減価償却費が少なく計上されることから、その後の毎年の所得税等の負担は重くなります。そのため、所得の高い人が建物(減価償却資産)を買換資産とする買換え特例の適用を受けることは、長期的な視点で判定すると税負担が重くなる可能性が高いと考えられます。

減価償却資産を買換資産にする場合の注意点
この特例の適用を受けると今回の譲渡税の負担は大幅に軽減されますが、買換え特例の適用を受けた資産は、譲渡資産の取得費を引継ぐことになることから、建物などの減価償却資産を買換資産とする場合には、取得価額が圧縮され毎年の減価償却費が少なく計上されることになり、その後の所得税の申告においては不利な取扱いとなるケースもあることから、慎重な検討が必要です。

※本サイトに掲載の内容は、令和5年6月現在の法令に基づき作成しております。

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