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こんな手法もある土地有効活用 その4 サービス付き高齢者向け住宅の税制メリットと建設補助金

税理士法人今仲清事務所 税理士 今仲 清

平成23年10月より新たな高齢者向け賃貸住宅のしくみとして「サービス付き高齢者向け住宅」制度がスタートしています。
サービス付き高齢者向け住宅とは、入居者に対して安否確認や生活相談サービスの提供が義務付けられたバリアフリー構造の賃貸住宅で、都道府県知事等への登録などにより住宅建設費用の一部補助金の交付が受けられる制度や税制上の優遇措置が設けられています。これらの支援措置により、土地活用手法としても期待されています。
サービス付き高齢者向け住宅に対する建設補助金は、一部要件を見直した上で平成30年度予算においても引き続き手当されており、税制上の優遇措置については、割増償却を除き平成29年度税制改正で延長措置がとられました。

<平成30年度予算措置と平成29年度税制改正のポイント>
支援措置 主な改正内容
サービス付き高齢者向け
住宅整備事業
建設補助金 〇 既存ストック型の補助限度額を180万円/戸(改正前:150万円/戸)に引上げ。
〇 新築で床面積25㎡未満の住戸の補助限度額を90万円/戸(改正前:110万円/戸)に引下げ。
〇 夫婦型の補助限度額135万円/戸は住戸数の2割を上限に適用(ただし、入居世帯を夫婦等に限定する場合は除く。)。
〇 高齢者生活支援施設のうち、介護関連施設等の新築が対象外とされます(ただし、平成30年度中に事業に着手する場合は対象とされます。)。
サービス付き高齢者向け
住宅普及促進税制
不動産取得税の特例 戸数要件が10戸以上(改正前:5戸以上)、床面積要件の上限が210 ㎡以下(改正前:240㎡以下)に見直された上で、適用期限が平成31年3月31日まで2年延長。
固定資産税の軽減措置 戸数要件が10戸以上(改正前:5戸以上)、床面積要件の上限が210 ㎡以下(改正前:280㎡以下)に見直された上で、適用期限が平成31年3月31日まで2年延長。
所得税・法人税の割増償却 平成29年3月31日までの適用期限の到来をもって廃止。

[1] 登録基準を満たすサービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅としての登録は、60歳以上の方、要介護・要支援認定を受けている単身者及びこれらの方と同居する配偶者などの一定の者を入居者とする各居住部の床面積が原則として25m2以上の賃貸住宅で、一定の資格を有するものが日中常駐して安否確認や生活相談サービスを行っていることや、契約内容についても権利金その他の金銭を授受しないこと等の要件を満たしていなければなりません。
また都道府県知事等への登録は建物ごとに5年ごとの更新制となります。

<サービス付き高齢者向け住宅の登録基準>
1 入居対象者 入居者は、原則として60歳以上の高齢者、要介護・要支援の認定を受けている単身向け及びこれらの方と同居する配偶者、60歳以上の親族、要介護又は要支援認定を受けている親族などがいる場合の家族向けが対象となります。
2 床面積基準や必要な設備
  1. (1)各居住部分の専用床面積が原則として25m2以上であること。※居間、食堂、台所その他の住宅の部分について高齢者が共同して利用するため十分な面積を有している場合には、18m2以上でよいこととされています。
  2. (2)各居住部分に台所・水洗トイレ・収納設備・洗面設備・浴室を備えること。※共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備又は浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備又は浴室を備えなくともよいこととされています。
  3. (3)バリアフリ-構造(段差のない床、手すりの設置、廊下幅の確保等)であること。
3 提供するサ-ビス 安否確認と生活相談のサ-ビスが必須で、ケアの専門家(※)が常駐してこれらのサ-ビスを提供する必要があります。また、常駐しない時間帯は緊急通報システムによって対応できる必要があります。

※ケアの専門家とは、次の人に限ります。

  • 社会福祉法人・医療法人・指定居宅サ-ビス事業所等の職員
  • 医師・看護師・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修課程修了者
4 契約・前払金
  1. (1)書面による居住専用部分が明示された契約でなければなりません。
  2. (2)賃貸借方式による契約と利用権方式による契約がありますが、いずれの場合も、長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できないことになっているなど、居住の安定が図られた契約内容になっていなければなりません。
  3. (3)権利金やその他の金銭を受領できないこととされ、敷金、家賃・サ-ビスの対価のみしか受け取ることができません。
  4. (4)家賃サ-ビスの対価について前払金を受領する場合は、次の要件を満たす必要があります。
    • 前払金の算定基礎、返還債務の金額の算定方法が明示されていること
    • 入居後3か月以内に、契約を解除又は入居者が死亡したことにより契約が終了した場合、「契約解除までの日数x日割り計算した家賃等」を除いて、前払い金を返還すること
    • 返還義務を負うこととなる場合に備えて、前払金に対して必要な保全措置が講じられていること
  5. (5)サ-ビス付き高齢者向け住宅の工事完了前に前払金を受領することはできません。
  • ※地方公共団体ごとに独自基準が定められている場合があります。詳しくは登録窓口にご確認ください。

[2] サービス付き高齢者向け住宅に対する建設補助金

サービス付き高齢者向け住宅の新築・改修に当たっては、1戸当たり90万円~180万円を上限として建設費用の10分の1又は3分の1が、併設される高齢者生活支援施設は1施設当たり1,000万円を上限として建設費用の10分の1又は3分の1が、それぞれ補助金として交付されます。

補助金の交付を受けるには、サービス付き高齢者向け住宅としての登録に加えて、次に掲げる補助金の交付要件を満たし、サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局(以下、事務局といいます。)への交付申請を行う必要があります。

(1)補助金交付の条件

2 サ-ビス付き高齢者向け住宅として10年以上登録するもの。
3 入居者の家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないように定められるもの。
4 入居者からの家賃等の徴収方法が前払に限定されていないもの。
5 地元市区町村に意見聴取を行い、認められたものであること。
6 事業に要する資金の調達が確実であること。
6 サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム上で「運営情報」の公開を行うこと。

(2)補助金の建設費用等に対する補助率と1戸・1施設当たりの上限額

補助金は定額ではなく、①建設工事費等に補助率を乗じた金額と ②1戸当たり(又は1施設当たり)の補助限度額の合計額を比較し、少ない方の金額が補助額となります。なお、高齢者生活支援施設に対する補助金の合計額は、サービス付き高齢者向け住宅の補助金の額を超えることはできません。
また、対象はサービス付き高齢者向け住宅のうち、家賃(共益費、管理費等は含みません。)が月額30万円未満の住戸に限られます。

<補助率(上限)>
新築・増築 サービス付き高齢者向け住宅 1/10
高齢者生活支援施設※1
改修※2 サービス付き高齢者向け住宅 1/3
高齢者生活支援施設※1
エレベーターを新たに設置する改修工事※3 2/3
改修を目的として住宅等を取得した場合の取得費用(用地費は除く) 1/10
  1. ※1高齢者生活支援施設とは、当該サービス付き高齢者向け住宅の居住者に対して、高齢者の生活を支援するため、情報提供、生活相談、食事サービス等を提供するための施設(地域に開放するものを含む。)をいいます。
    なお、介護関連施設等の新築に係る費用は補助対象外とされます(ただし、平成30年度中までに事業着手する事業は補助対象とされます。)。
  2. ※2共用部分及び加齢対応構造等(バリアフリー化)に係る改修工事、用途変更に伴う法令適合のために必要となる改修工事に限られます。
  3. ※3エレベーター設置改修工事の補助限度額は、設置するエレベーターの基数に1,000万円を乗じた額とされます。
<サービス付き高齢者向け住宅等の新築工事に係る補助限度額>
(平成30年度事業における新築工事に係る部分のみを抜粋)
事業
部分
補助条件 補助限度額
住宅
部分
夫婦型サービス付き高齢者向け住宅(以下を全て満たすもの)
・住戸部分の床面積が30㎡以上であること
・住戸部分に基本設備(便所、洗面、浴室、台所、収納)が全て設置されていること
※入居世帯を夫婦などに限定する場合を除き、補助申請住戸数の2割以内の戸数が上限
1戸当たり
135万円
一般型サービス付き高齢者向け住宅
(上記以外のもの)
床面積が25㎡以上の住戸 1戸当たり
120万円
床面積が25㎡未満の住戸 1戸当たり
90万円
施設
部分
補助対象となる高齢者生活支援施設 1施設当たり
1,000万円

(3)補助対象となる費用について

サービス付き高齢者向け住宅の整備費用(建設請負工事費等)が補助対象となりますが、通例、建設請負工事費に含まれる費用でも、補助対象外と認定される費目は補助の対象となりませんのでご注意ください。
例えば、調査費・設計費・宅地造成費など本事業が対象にしていない費用は補助対象外となります(既存ストック型サービス付き高齢者向け住宅を整備する場合の調査設計計画費用を除く)。また、家具・家電・カーテンなど、建物側ではなく、入居者・建物利用者による設置が妥当あるいは一般の賃貸住宅での慣習となっている用品は補助対象外です。
これらの補助対象外費目については、審査において査定指摘されますが、事業者側においても、明らかに補助対象外となるような費目については、予め含めずに事業計画に大きな影響がでないよう、配慮が必要です。

補助対象外となる費目の一例
・業務用厨房における厨房機器・予備照明用管球(器具セット品を除く)
・消火器・家具・家電製品・カーテン・ロールスクリーン等

(4)補助金交付の申請受付期限

「平成30年度サービス付き高齢者向け住宅整備事業」の申請受付期限は、平成30年4月20日から平成31年2月28日(事前審査の受付をしている場合も同様)までとされています。しかし、受付期間内であっても平成30年度予算で設定されている補助金の総額に達した場合には、受付を停止されることもありますのでご留意ください。

(5)補助金の交付を受けることができる事業

平成30年度中に事業に着手(工事を実施する場合は工事着工、調査設計計画を実施する場合は委託契約等を締結)するものが対象となります。交付申請された事業のうち、平成30年度中に着手に至らないものについては、交付決定が無効になります。
なお、交付決定後に事業者の都合で補助事業の期間を変更した場合には、交付決定通知書で示された補助金の額が全て支払われない場合があります。補助事業の期間が変更となる場合には、必ず必要な手続を行ってください。
本補助事業は原則として、平成30年度中に事業完了する事業を対象としています。そのため、事業期間は、原則、交付決定後から平成30年度末までとなります。
工事に要する期間などの事情により、この期間を超えて事業を実施する場合や、複数年度にわたる事業については全体設計承認の手続きが可能ですので、事務局にご相談ください。

※本サイトに掲載の内容は、平成30年7月現在の法令に基づき作成しております。

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